積立投資と米国ETFで夢の不労所得生活

24歳から始めた積立投資で2人の子供が社会人になる50歳までに不労所得500万円を達成しアーリーリタイアを目指すちろりんのブログ

ADR(米国預託証券)って何だ?米国株式との違いとメリット・デメリット

こんにちは。ちろりんです。

外国株式投資を考え、調べたことがある方なら、「ADR」について一度は聞いたことがあるかもしれません。

でもADRって何なの?米国株式とは違うの?わざわざ買う必要があるの?といった疑問を持っている方も多いと思います。(私はそうでした。)

そこで、将来自分の子どもたちにも説明できるよう、私が調べたことを簡単にまとめておきたいと思います。

ADR米国預託証券)とは?

ADRとはAmerican Depositary Receiptの略で日本語では「米国預託証券」と呼ばれています。

もともとはアメリカの投資家がアメリカ以外の外国企業に自国通貨(米ドル建て)で投資できるように作られたものです。

と言われてもよくわからないと思いますので、もう少し解説します。

投資家にとっての問題点

投資に興味を持ち色々調べていく中で、今後人口増加し経済成長が期待できるインド企業の株式を購入したい!と考えたとします。

しかし、現地の規制により、海外の投資家が直接その国の個別株式を買うことはできません。

このままでは、せっかく発見した魅力的な企業への投資ができず、指をくわえて諦めるしかないのでしょうか。

この問題点を解決してくれるのがADRです。

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ADRの仕組み~ADRは株なの? | 米国預託証券(ADR)特集 | 特集 | 楽天証券

ADRの仕組み

ここでは難しい(細かい)説明は省いて簡単に説明します。

先ほど現地の株式を外国投資家が直接買うことはできないといいました。逆に言えば、現地で現地の株式を買うことは問題なく行えるわけです。(日本人が日本の株式を購入できるのと同じで、当たり前ですね。)

そこで以下のステップを踏みます。

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  1. アメリカのC銀行がインド現地でB社株式を購入し、インド現地の銀行に預ける
  2. C銀行はインド現地で預けたB社の株式を裏づけとした預かり証券(預託証券)を発行する
  3. B社とC銀行は発行された預託証券を米国証券取引所に上場させる

そして何より重要なのが上記2です。上図でもご覧の通り、C銀行が発行した米国預託証券はインド本国のB社株式に対する所有権そのものであることから、米国預託証券保有者はB社の実質的な株主となるのです。

上場審査手続きを通過し米国株式市場に上場されることになったB社のADRは、これによって米国に上場されている米国企業の株式と同様に売買することが可能となります。つまり米国証券取引所にアクセスできる投資家であれば、インドB社のADRをあたかも米国企業の上場株式であるかのように取引することができるようになるのです。
ADRの仕組み~ADRは株なの? | 米国預託証券(ADR)特集 | 特集 | 楽天証券

こうして、米国株式市場で取引できる人であれば、ADRを通じて各国の実質的に現地株式への投資が可能となります。

ちなみに日本のトヨタソニーなどもADRとして上場しています。(日本人の私たちがあえてADRを通じてそれらの株式を買う必要はなく、普通に日本株を円で購入すれば問題ありませんが。)

ADRのメリット

ADRの仕組みはわかったところで、私たちが敢えてADRを購入するメリットについて説明したいと思います。

  1. 簡単に各国の株式を購入できる
  2. 高配当銘柄がたくさんある
  3. 二重課税の対象とならない

順番に説明していきます。

1.簡単に各国の株式を購入できる

ADRの仕組みでも説明しましたが、ADRとして上場している各国の株式を実質的に購入することで国際分散投資をすることができます。

本来であれば証券会社の口座を開設し、現地通貨を用意し、口座に入金の上、現地証券会社を通じて購入手続きをするといった手間が生じます。

購入通貨を用意する為替手数料や株式購入手数料も、比較的安価な米ドル、米国株と同じ程度で済みます。

ADRは米国株式市場に上場していますが、米国の証券会社で口座を開かなくとも、日本の証券会社から購入することが可能です。

またADRはドル建てなので、為替手数料がお得な住信SBIネット銀行で円をドルに交換し、その後ドルをSBI証券に移してから、そのドルでADRを購入するというやり方をおすすめします。(私もこのやり方でADRを購入しています!)

2.ADRには高配当銘柄が多い

以下はADR配当利回りランキング上位のものです。

これを見るとインカムゲインによる不労所得の確保を目指す投資家としては興味をそそられるのではないでしょうか。

私もRDS.BとBTIは少しではありますが保有しています。(これまで個別株は投資対象外としていましたが、コロナショックで本来の価値以上に割安になったかもと思い、3月、4月で購入しました。)


ADR配当利回りランキング as of 4/24/2020

#

シンボル

銘柄名

配当利回り

セクター(GICS)

産業(GICS)

市場

1

RDS-B

ロイヤル・ダッチ・シェル

Royal Dutch Shell plc

11.14%

エネルギー

石油・ガス・消耗燃料

NYSE

ADR(イギリス)

2

WBK

エストパック銀行

Westpac Banking Corporation

11.12%

金融

商業銀行

NYSE

ADR(オーストラリア)

3

BP

BP

BP p.l.c.

10.72%

エネルギー

石油・ガス・消耗燃料

NYSE

ADR(イギリス)

4

BTI

ブリティッシュ・アメリカン・タバコ

British American Tobacco p.l.c.

7.46%

生活必需品

タバコ

NYSE

ADR(イギリス)

5

VOD

ボーダフォン・グループ

Vodafone Group Plc

7.30%

電気通信サービス

無線通信サービス

NASDAQ

ADR(イギリス)

これは2020/4/24時点の情報です。最新の情報は以下サイトをご参考にしてください。

ADR(米国預託証券) - 米国配当株:利回りランキング | インカム投資ポータル

3.二重課税の対象とならない

ADRに限った話ではなく、米国株式や米国ETFでも言えることですが、二重課税の問題があります。

日本株の配当金にかかる税金は20.315%です。

これに対して米国株の配当金については、米国内で10%取られた後米ドルで支払われた後、日本国内でも日本株同様に20.315%取られてしまいます。

つまり実際に受け取る配当金は

(100%-90%)×(100%-20.315%)
=90%×79.685%
71.7165%

約28%強の税金が取られることになります。

ただし、確定申告をして「外国税額控除」を受けることで、米国内で支払う税額分については所得控除を受けることができるため、実質的には日本国内の株式と変わらなくなりますが、確定申告をする手間がかかったり、そもそも所得控除を受けるだけの所得がない場合には外国税額控除で取り返すことができません。

一方で、上記表にあるような英国ADRやオーストラリアADRなどは米国市場に上場してはいますが、米国株ではないため、最初から米国内での配当金に対する現地課税がなく、上述の米国内と日本国内の二重課税は発生しません!

これは手間をかけずに、配当収入を高めたい個人投資家にとって、とてもありがたいことです。

ADRに関してはそもそも二重課税されていないため、確定申告での外国税額控除は使えないことを念のため書き添えておきます。

ADRのデメリット

一見メリットばかりに思われるADRですが、デメリットにはどんなものがあるでしょうか。

1.ADR管理手数料がかかる

私が実際にADRを購入しているマネックス証券には以下記載がありました。

預託証券の発行管理に関する費用実費をご負担いただきます。
預託証券を発行する金融機関(預託銀行)から、一定期間毎に管理費用が徴収される場合があります。この管理費用について、お客様のADR保有残高に応じて、実費を外国株取引口座の米ドルのお預り金からお引落いたします。(不足する場合は、ご入金が必要となります。)
一般的に四半期~1年毎に1株あたり0.25~5セント程度の管理費用がかかります。
米国株 米国預託証券(ADR)/マネックス証券

このADR管理手数料ですが、銘柄によっても異なり、また事前にいくらかかるかはわからないので、その点はあらかじめ認識しておく必要があります。

私が保有しているADR銘柄について、表面的な配当利回りだけでなく、ADR管理手数料を加味した実質配当利回りがどうかについても、今後紹介していこうと思います。

ただ、これも国内投資信託における信託報酬のようなものと思えば、ADR固有の話ではなく、日本株インデックス投資でも同様のことが言えそうなので、そこまで気にすることでもないかもしれません。

2.ADRのみが上場廃止となる場合がある

ADRの仕組み」でもご説明した通りADRは現地株式そのものではなく、あくまで現地株式を裏付けとした預託証券を上場させたものですので、現地株式自体が上場継続していたとしても、ある日突然ADRのみが上場廃止となってしまう可能性はあります。

個別銘柄への投資である以上、原株式の上場廃止リスクがあることは承知していることと思いますが、自分が投資しているADRにはそれ以外の要因で上場廃止となる可能性があるということは予め理解しておく必要があります。

終わりに

配当によるインカムゲインでのセミリタイアを目指す私にとって、ADRは有効な選択肢の一つとなりうるものですが、ADRはあくまで個別銘柄への投資であり、ハイリスクであることは念頭に、ADR一辺倒にならず、インデックスをコアとしたサテライト的な位置づけでの投資を心がけていきたいと思います。